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現在の日本国憲法は、国民の人権を守ってくれているのですが、そのありがたみが分かっていない人が多すぎます。
日本を守るために憲法を変えなければならない...と考えている人は、今の憲法では国民を守れないと考えていて、よく次のような事を言われます。
●敵が攻めてきたらどうするんだ
●丸腰はダメだ。
●自分の国は自分で守らなければいけない。
●昔の日本人は国の為に勇敢に戦った。
●今の日本人が戦えなくなったのは、GHQによって弱体化させられたからだ。
●GHQのせいで自虐史観を植え付けられて、日本人は自信が持てなくなった。
●GHQに支配される以前の日本人の精神はすごかった。
●他国を支配していない、解放したんだ。日本人が悪い事をしたというのはデマだ。
これらのうち、本記事では「昔の日本人は国の為に勇敢に戦った。」や、「GHQに支配される以前の日本人の精神はすごかった。」という部分を深掘りしていきたいと思います。
日本の軍隊の魅力
最近「昔の日本人の強さ」や「戦うこと」を褒めているコンテンツをよく見かけます。以下のようなCMも多いです。


主に戦争や、日本軍の事を指しているのだと思います。
こんなキャッチコピーを見たら、カッコイイと思いますし、自分もこうなりたいと思うのではないでしょうか。私もヒーローものの作品は大好きですから、気持ちは分かります。
でも、私は歳をとった軍隊経験者を沢山見てきましたが、そんなに強いと感じた事はありませんでした。
現代の日本人より感情を表に出す傾向が強かったですが、一方で、長い物に巻かれる性質も持っていました。ここは現代の日本人と変わりません。
でも、上のCMはそのような現実は無視して、カッコいい話ばかりが紹介されます。
戦前や戦中の日本人は、本当はどうだったのか、強かったとしたらそれは何故なのか、その理由を考えてみます。
軍隊の実態
圧倒的に不利な戦局でも、命を惜しまず立ち向かった...というと、強靭な精神の持ち主のように感じます。そして日本軍は、現実にそういう戦い方をしていました。
ただし、その表面だけを見てはダメです。彼らの心理を深掘りして考えないと実態は見えてきません。
日本軍は、凄く強かった一方で、角度を変えたらとても弱い面を持っていました。
具体的に言うと、弱者に対しては強く、お上に対しては弱かったのです。だからあのような、負ける闘いでも向かって行けたのです。
改憲派による日本軍の美談では語られませんが、実は日本軍は徹底した縦社会で、イジメの巣窟でした。
陸軍も海軍もどちらも同じです。
ちなみに、陸軍には特攻に失敗した人を収容する「振武寮(しんぶりょう)」という施設があり、そこに入った特攻失敗者は、人として扱われず、暴言や暴行を受けていました。
大日本帝国の軍隊の虐めレベルは、現代の学校や職場の虐めなど足元にも及びません。
その環境に放り込んで、軍人としての人格を作っていったのですが、そのプロセスを調べると、宗教みたいです。
何処の国の人間でも、このやり方で鍛えると、狂っていくと思います。
戦争に行きたいとか、昔の軍隊を崇拝している人達は、これらを知った上で、軍備増強や徴兵制を望んでいるのでしょうか?
日本人の精神は変わっていないので、軍国主義になったら、極上の虐めが復活し、同胞からの暴力と暴言を楽しむことができるでしょう。
ではどうやって、そんな異常な社会を作っていったのか、その方法を解説します。
大日本帝国に相応しい人間の作り方
大日本帝国では、全ての国民を洗脳していました。一般国民が余計な事を考えないようにしたのです。
その為には、冷静にさせないように、人々の精神が高揚するスローガンを連発して、精神主義の大切さを徹底的に叩き込んでいました。
そして、それぞれの施設で教育されます。
まず、子供時代。学校の授業での洗脳です。
小学校では、教科書は神話で溢れており、大和民族がいかに優れているかが描かれ、天皇は神であると教え込まれました。
「天皇に尽くすことこそが、日本国民の神聖な義務であり、最高の名誉である」ことを、学校で繰り返し教え込まれるので、子供の時から奴隷脳になり、軍国少年・少女になりやすいです。
そしてその後、軍隊に入ると、もっと本格的な洗脳を受けられます。
『上官の命令は、直ちに、天皇の命令なりと心得よ』と教え込まれるので、上官に逆らう強さは養われません。多くの下級兵隊は、どちらかというと組織内での保身のために、理不尽な事にも従うようになります。
酷いのは、初年兵教育のイジメです。「鉄拳制裁」や「いびり」が当たり前だという証言は多数残っています。
『日本刀の刃と同じで、兵隊は叩けば叩くほど強くなる』という“論理”で、兵隊を人間として扱いませんでした。
殴られなかったのは、入隊した日と予防接種を受けて熱が出た日の三日くらい。それ以外は毎日朝から晩まで、上官から殴られるような異常な環境。それでも、反発しなかったそうです。
暴力は、裏にびょうの付いた編上靴や木刀等を使うこともありました。怪我をさせてもお構いなしです。
上の者が言うことに絶対服従の『ロボット』にするために、かなり意図的にやっていたみたいです。ちょっと調べたら、こういう話がゴロゴロでてきます。
徹底した精神的・肉体的暴力によって、「真っ当な人間の人格・良心・尊厳を壊し、元々備わっている感情や考えを、殴って殴っていじめ抜いて『空』にしていたそうです。
そして、自分が上官になったら、同じ事を部下にすると...。
一階級でも上の兵、少しでも先に入隊した兵の言葉には絶対服従です。彼らに逆らうことは、天皇に逆らうこと...という理論がまかり通っていました。
ただのイジメ
究極の縦社会なので、イジメられる後輩も先輩も狂っていきます。
国家によって青春を奪われ、良いようにこき使われて殴られたら、気持ちが荒んできます。しかも、いつ死ぬか分かりません。
古い兵は、退屈しのぎ・憂さ晴らしで私的制裁を加えるようになるし、部下はどんな非人道的な命令でも、「あいつは良くやっている。度胸がある」と言ってもらいたいがために、上官には忠実に従いました。
イジメにハマった教育係上官以外の古年兵は、「言葉づかいが悪い」「生意気だ」「動作が遅い!」「服装が悪い!」などと、適当な理由や因縁をつけては殴っていました。
特に高い教育を受けていた人はターゲットにされ、徹底的に痛めつけられたそうです。
これを敵に対して行っているのではなく、同胞に対してなので相当ヤバイです。身内は戦力です。それを無駄に傷付ける非効率な組織だったので、戦争で酷い負け方をしても不思議ではありません。
では、どうしてこんな事になるのかというと、当時の日本が、政治×軍隊×宗教なので、社会の運営が、カルト式になるのでしょう。
天皇の命令=上官の命令という設定なので、上に逆らえないから、みんなバカになります。問題に気付いて指摘するような、優秀で勇敢な人は処分されます。
そうなると、上官は間違いを訂正することができないのでバカになります。
縦社会はみんなの能力を潰すので、バカが命令して、バカが従うという組織ができあがります。
敵の人権
よく「アジアを解放したんだ。現地の人から感謝された。日本人は侵略も悪い事もしていない」と言う人がいます。
落ち着いて考えましょう。ご説明したように、日本軍は身内に対しても酷かったわけです。愛国と言いながら、同胞に対する愛は全く感じられません。
そんな人達が、敵にだけ優しい...という事があるでしょうか?
答えはNOです。身内に酷い事をする奴は、敵とみなした相手に対しては、もっと酷い事をするものです。これだと理屈が通ります。
私が戦前・戦中の日本人の悪事を説明する時に、外国人に対する悪事ではなく、まず同胞に対する悪事を紹介するのは、これを説明する為です。
日本軍は軍隊内で基本的人権が守られていない状況でしたし、さらに、敵の捕虜となることも許されませんでした。それ以前に、「人権」と言う概念さえなかったように見えます。
自分の人権は蔑ろにされ、同胞の人権も平気で踏みにじる...そんな状態なので、「劣等だと見下していた外国人」の人権は当然考えません。
ちなみに、「俺たちが行ったお陰で、インフラが整って発展した」みたいな事を言って、日本人が凄く良い人達だったかのように言われていますが、表向き友好の形を取っているだけで、実際は日本人以外を見下していました。
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「満洲国の『五族協和』なんてとんでもない話で、日本人は一等国民、朝鮮人は二等、中国人は三等と、もうあからさまの差別。だから暴動が起きるのは何の不思議でもない」
現地の人は迷惑したと思いますよ...。
余談ですが、戦争中、日本軍が「食料は現地調達」「捕虜は持たず」という無責任な命令をしたのは有名です。そんな命令すればどうなるかというと、現地で、略奪や虐殺をするようになります。
軍人としての経験が少ない時、殺人、略奪などの「やりたくない命令」をされた場合は、「こいつらのせいで、俺たちは苦労しなけりゃならないんだ」「皇軍の言うことを聞
かない劣等民族は、懲らしめられても仕方ない」と言い聞かせ実行していたそうです。
当時の人の証言を読むと、根底に差別意識が見え隠れします。
人権が守られるありがたさ
昔の日本人が強かったのは、徹底した洗脳で、ロボットになったからです。
現代は国民の人権を日本国憲法が守ってくれているので、当時のような酷いことはできません。非人道的なことをやって、世間にバレたらバッシングです。
しかし、改正して人権が守られなくなると、戦前のようになります。
つまり、憲法を改正すると、外国からも、同胞である日本人からも攻撃されるのです。日本人は両方からのダメージでボロボロになるでしょう。
味方が敵になるのが戦争なのです。
続編は以下の④です。












